« ★『チョコレートコスモス』恩田陸を読む。 | トップページ | ★東野圭吾『赤い指』を読む。うーん・・・。 »

2007.01.09

★KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』を見る。

かねてから一度見てみたいと思っていた名古屋の奇才天野天街。
ちょうどお正月(というか成人式の頃)に名古屋の七ッ寺共同スタジオにて、『真夜中の弥次さん喜多さん』を上演している事を発見。
友人を誘って急遽行ってきた。

実は見ようかどうしようか迷って眠ったためか「真夜中の弥次さん喜多さんを見に行くが、行っても行っても劇場にたどり着かない」という夢を見ました・・・。
すごく落ち着かなくて、やっぱりこれは舞台見なくちゃ。とか思ってチケット取った(笑)。
ある意味予知夢的な(笑)夢でしたよ・・・。

長瀬智也と中村七之助でクドカンが映画化した事で有名になったしりあがり寿の「真夜中の弥次さん喜多さん」の舞台化。舞台版は2人芝居である。
2002年の初演以来、何度も再演されてきた代表作のひとつ(らしい)だけれども、今回にて最終公演とのこと。
すべりこめてよかった・・・。
今回は東南アジア公演の凱旋公演も兼ねた「完全海外バージョン」とのことで、劇中、やじさんときたさんが台詞を言いながら画用紙に書かれた字幕を一枚一枚出して行く。字幕も小道具として機能。

★☆★最終公演との事なのでネタバレで振り返ります★☆★


さて初・天野天街。もっと見た先から訳が分からずぐるぐるするのかと思ってたけど、そんな事無かった。
普通に色々面白い。けど、不条理。

とにかく役者さん2人(=弥次さんが寺十吾さん、喜多さんが小熊ヒデジさん)とスタッフの素晴らしくこなれた一糸乱れぬアンサンブルのすごさに圧倒された。すごい・・・。
マジックのようにあちこちから出現する小道具の数々。
何度も何度も反復される会話と行動。

伊勢を目指して旅立ったはずなのに本当に旅をしているのか、誰が起きていて誰が眠っているのか、これは夢なのか、そして何度も挿入される死の影、生きているのか死んでいるのか、観客の頭も永遠ループに絡め取られてわけが分からなくなる・・・。

「くだんプロジェクト」という団体さんの作品なんだけど、内田百閒の「冥途」を思い出した。
すごく正しく「夢」っぽい。執拗な反復とか、「起きたら渡して」と言い残してどこかに行っちゃうきたさんとか。
「踏んだ!て言うと戻れるから、いったん死んでみよう♪」という考え方とか。
あと、ラストシーンで「クラインの壷」=岡嶋二人ラストシーンを思い出したり、「扉の向こうの物語」=岡田淳のラスト「ふたたび、扉だけの扉」部分を思い出したり。

同時に「演劇とは何か」なる命題?も内包されていて、「見えているもの」「見えていないもの」「これは『在る』の?『無い』の?」の反復が超飛び道具「舞台上にてうどんの出前」にて表現される。
この出前って本当に電話してるのかなあ??今まで「キタさん」だったのが、突然「小熊さん」(キタさん役の役者さんの名前)になってるのが面白いんだけど。
↑追記。アフタートークをUPしてくださっているサイトを見たところによると、実際に注文しているそうです。
そうだよね。だってうどん屋さんが仕込みだったら演技上手すぎるもん。ものすごく日常の会話。
この空間のつながり方も面白かった。「演劇」という非日常空間と突然つながる「うどん屋さんの日常」。


一端始まったら最後まで疾走する二人芝居で、本当に二人に圧倒された。
やじさんきたさんはディープに愛し合う恋人同士♪な設定なんだけど、別にラブな場面がある訳ではない。
(というか、別の見方をすれば全編いちゃいちゃしてる話とも言えるが)

・・・けど、二人の役者さんの間に、例えて言えば長年連れ添った夫婦のような、長年組んできたお笑いコンビのような、お互いに対する絶対の信頼が感じられて、その信頼感が劇中の「恋人設定」ともうまくリンクしていて、根底でつながっている感じがすごくあってよかった。
もちろんそういう演技展開をしている事もあるんだろうけど、二人の間が絶対に揺らがない感じがすごくして、本当に単純にすごいな~と呆然とみて終了・・・。「阿吽の呼吸」とはこういう時に使うべき言葉なんだと思う。

単純に、何百枚(も無いけど)もの字幕をさくさく演技しながらひとつも間違えずいいタイミングで出し続けて歌って踊って膨大な台詞量を話しまくりしかも何回も反復して(今何度目かわからなくなりそう)出前を取りうどんを実際に平らげお互いにラブ!な空気感を出しつつ最後までテンションが一定(ずっとマックスにハイ)。という事に圧倒されました。


本当に緻密で濃密で言葉と場面の反復と言葉遊びとぐるぐる感と飛び道具の出し方と映像の使い方とお遊びとetc.渾然一体となって疾走していく舞台で、ものすごく濃密な「夢」を見た感じでした。
だから「冥途」気分なんだろうし。
ラスト、何も無い空間で消えるやじきたまでたどり着いて、やっとふっと私の目が覚めた気がした。

見に行ってよかった~お正月からディープな世界でした。面白かったしアンサンブルの緻密さに圧倒されつつ気持ちよかったし。色々分からないけど分からないことも含めて楽しい。

|

« ★『チョコレートコスモス』恩田陸を読む。 | トップページ | ★東野圭吾『赤い指』を読む。うーん・・・。 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/93575/13397038

この記事へのトラックバック一覧です: ★KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』を見る。:

« ★『チョコレートコスモス』恩田陸を読む。 | トップページ | ★東野圭吾『赤い指』を読む。うーん・・・。 »