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2005.10.17

太宰治『駆込み訴え』を読む。テーマソングは寺田CD.

久々に太宰が読みたくなり、新潮文庫の「走れメロス」を読む。

『駆込み訴え』(私が最初に読んだ文学全集だと「訴へ」だった気がするんだけど、表記変わったのかな・・・)は、やはり名作です。

が、今読むと、あの!劇団四季ファンには伝説の「寺田CD」こと、日本初演「ジーザス クライスト スーパースター」CDの寺田稔さん演じるユダの歌声が鮮烈に蘇り、もう逃れられなく『駆込み訴え』のテーマソングとなるのであった。

ユダのジーザスに対する凄まじい愛と憎しみと嫉妬と尊敬と軽蔑と焦燥と混乱の感情の奔流を余すところ無く表現しきったような気がする寺田さんのユダ。

正直、最初聴いたときはあまりの衝撃に笑い死ぬかと思いました・・・思い出しただけでも笑えます・・・。(試聴しただけなのだが)今の四季では絶対に有りえない物凄い存在感。

でも同時にある意味すごい納得のユダだったりもする。
そして『駆込み訴え』のユダとすごく印象が重なる。

妙にウィスパーボイスな市村正親ヘロデやら、やたらエコーかかっている久野綾希子マリアやら、ダイナミックな鹿賀丈史やらは、正直寺田ユダの衝撃の前には全部吹っ飛びます・・・。


『駆込み訴え』のユダは本当に凄まじく「あの人」を愛していて、何も信じていないけれども「あの人の美しさだけは信じている」。とか、誰かに渡すくらいなら自分が殺してあげようと思ってる所とか、殆ど狂気すれすれ(というかもう向こう側行っちゃってる)のところで「あの人」をひたすら見つめている。
「あの人」がマリヤに特別な感情を持ったのでは?と思った瞬間に湧き上がる、一体誰に対しての嫉妬か分からない強烈なジェラシーと混乱。
あまりにも強烈な存在と出会って、自分の全てをかけて生きてきた「普通の人」の感情が本当に素晴らしく表現されていて、今読んでも誰もがユダに共感できるのではと思う。

読んでいて久々にまたジーザスを見たくなった。


・・・でも、私は全くキリスト教との接点がないまま生きてるので普通に「お話」として読むしかないんだけど、この話読むと、何であえてユダを挑発しまくるんだろう「あの人」・・・とか、結構疑問・・・。

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